平成19年度 広島大学公開講座  
 
数学の基礎と展望
−広がっていく数学の世界−

主催 広島大学理学部数学教室
共催 広島大学総合科学部数理情報科学教室
後援 広島県教育委員会

東広島市教育委員会

広島市教育委員会

趣旨

この公開講座は、大学公開事業の一つとして平成 4年度に始まり、今回が 16回目になります。数学は諸科学の基礎として重要な役割を果たしていますが、同時に創造性と自由な発想に富み、理論的な美しさを持っています。数学に親しみ、その素晴らしさを広く共有していただくために、現在研究されている数学の基礎的な考え方の一端を分かりやすく紹介し、数学が常に生き生きと発展している様子を理解していただこうとするものです。今回も、数学の様々な研究分野から新しい題材を取り上げて、4名の講師陣による講義を企画しました。さらに、「数学教室案内」、パネル展示「現代数学の世界」、特別懇談会「高校教育と大学教育の接点」(高校教員の方と大学教員の懇談) を開催します。

ポスター(PDF ファイル) ・  申込方法


・実施期間

平成 19 年 8 月 6 日 (月)、8 月 7 日 (火)

・実施場所 

広島大学理学部E棟1階 E102 講義室 (東広島市鏡山 1-3-1 交通案内はこちら

・受講対象者

高校生(学年不問)及び数学に関心のある方

・募集人員 

約100名

・受講料  

無料

・講師、講義内容の紹介

「生命現象を数理の眼で眺める面白さ」

 大西 勇 氏     
非線形問題の初歩的な例から始めて、その特徴を、線形との対比でみていきます。力学系の概念をフランスの大数学者:アンリ・ポアンカレに倣って紹介し、そのような観点から現象をとらえ直すことで、そのからくりに迫るようなアプローチの一端をみていきます。生命現象は、非線形現象の典型的で、かつ、精妙な例です。私の知っている例をいくつか紹介し、力学系的な視点からの捉え方が、現象のからくりの本質に迫っていくような「遊び=楽しみ」の一例を紹介できたら、と 考えています。

 [講師自己紹介]

  大西 勇 (広島大学大学院理学研 究科・准教授)
専門は、少し広い意味での「非線形問題の解析」です。非線形・非平衡系の科学というのは、広大(「ひろだい」ではなく「こうだい」)かつ、深淵な自然科学の中の一分野ですが、その一端を垣間見つつ、そこに数学的な構造を見いだし、数学としての「何か」として切り出す、といった仕事を目指しています。 




「世界は渋滞だらけ」

 西成 活裕 氏     
車の渋滞や人の混雑、嫌ですよね。連休中の高速道路は50kmの大渋滞。また、お店のレジで長い行列ができているとか、駅の通路で思うように歩けないとか、毎日経験している「渋滞」を科学してみたいと思います。そもそも渋滞という言葉で何を連想しますか?実は車や人だけが渋滞するわけではありません。アリも混んでくると遅くなります。またケータイがつながりにくいとか、また我々の体の中にも渋滞はあり、それがもとで病気になったりします。こういった具体例を通して、渋滞のおこる共通のしくみを考え、渋滞をコントロールする方法をみつける最新の数理科学をわかりやすく紹介します。


 [講師自己紹介]

   西成 活裕(東京大学大学院工学系研究科・准教授)
いろいろな渋滞を数学や物理を使って研究しています。これを最近「渋滞学」と名づけましたが、テレビなどで多数取り上げていただいていますので、ご存知の方もいるのではないかと思います。渋滞はなかなかなくなりませんが、この問題を数理の力でなんとかできないか、というのがこの渋滞学です。渋滞ストレスの無い社会を目指してこれからも頑張っていきたいと思います。




「回帰分析四方山話」

 柳原 宏和 氏     
一軒屋の住宅の価格を考えてみましょう。価格はいろいろな要因によって決定されているはずです。例えば、住宅の敷地面積が上がれば価格はあがるでしょう。また、交通の便が悪い所に建っている住宅なら、価格は下がるはずです。このような要因を明らかにする手法の一つが今回の講義で取り扱う回帰分析です。回帰分析では,要因を調べたい変数(目的変数)の平均的変動が関係ありそうな変数(説明変数)で表現されていると仮定します。もちろん、この関係式は色々考えることができます。関係式が線形(それぞれの説明変数の和として表されている)場合、線形回帰と呼ばれ、そうでない場合、非線形回帰と呼ばれます。この関係式をデータから決定することを推定と呼びます。関係式が明らかになれば、要因が調べたい変数である目的変数に対してどのように作用しているか、つまり、先ほどの例で言えば、敷地面積が上がれば住宅価格が本当にあがっているのか?または敷地面積が 1平方メートル増えれば価格がどれだけあがるかがわかるわけです。講義では、実際のデータを使って、このような回帰分析を紹介します。



 [講師自己紹介]

  柳原 宏和 (広島大学大学院理学研究科・准教授)
小学校教諭を目指して大学の教育学部に入学して早十何年。気がついたら小学校ではなく大学の先生になっていました。大学入学当初は美術領域専攻だったのに今の専門は統計学です。人生は何があるかわからないということをしみじみ感じます。




「正多面体の数学」

 松澤 淳一 氏     
サイコロの目の打ち方をご存知でしょうか。「一天地六東五西二南三北四」、日本ではこのように決まっているそうですが、もし自由に数字をふってもよいとすれば、一体何通りのサイコロができるのでしょうか。
世の中には、さまざまな形をしたサイコロがあります。普通は立方体、つまり正6面体ですが、他にも正多面体のサイコロなどがあります。正20面体のサイコロともなると、面の数が多くなり、数字のふりかたを数え上げるのはとても大変です。
この講義では、正多面体サイコロの数字のふりかたの計算を、効果的に行うための数学の考え方を紹介します。


 [講師自己紹介]

  松澤 淳一(奈良女子大学理学部・教授)
1959年東京生。高1の息子と小1の娘があり、食卓での会話の分裂に悩んでいる。打開策としてボードゲームに活路を見出そうと画策中である。図形の対称性を"測る"数学、群論を専門とし、現在、曲線や曲面の対称性を研究中である。



・企画

1日目講義終了後,次の二つの企画を並行して行います。

 ●「数学教室案内」 : 数学教室の図書室,コンピュータ室等の見学ツアー 

 ● 特別懇談会 「高校教育と大学教育の接点」

教員の方を対象とした高校教育と大学教育の情報交換のための懇談
(特別懇談会に参加ご希望の方は,申込書の参加希望調査欄に記入してください。)


また,E棟1階 E104 講義室 (E102 講義室の斜め向かい) にて  

 ● パネル展示「現代数学の世界」

を期間中行います。これは,現代数学の話題をパネルで紹介するものです。
1日目講義終了後に,大学院生によるパネルの説明会も行います。

 

・スケジュール

8月6日(月)    9:40 ― 10:00  開講式

            10:00 ― 11:40  講義 

            11:40 ― 12:10  講師との懇談タイム 

              昼休み

            13:00 ― 14:40  講義 

            14:40 ― 15:10  講師との懇談タイム 

            15:20 ― 16:00  大学院生による展示パネルの解説 

            16:00 ―       数学教室案内,特別懇談会 (並行して開催)
 
 

8月7日(火)   10:00 ― 11:40  講義 

            11:40 ― 12:10  講師との懇談タイム 

              昼休み

            13:00 ― 14:40  講義 

            14:40 ― 15:10  講師との懇談タイム 

            15:20 ― 15:50  修了式 (修了証授与)



・申込方法

別紙「受講申込書」の様式を参考に、必要事項を記入の上、下記住所まで封書で郵送にてお申し込みください (本講座申込の際には、返信用封筒等は必要ありません。)

〒739-8511 東広島市鏡山1−3−2
広島大学エクステンションセンター

受付期間

  〜 平成 19 年 7 月 18 日 (水)

お申し込みいただいた方には、受講票と本講座のテキストを送付いたします。

受講申込書の様式(PDFファイル)

 

・問い合わせ先、その他

〒739-8526 東広島市鏡山1−3−1
広島大学理学部数学教室公開講座係

電話: 082-424-7350 (数学教室事務室)
FAX : 082-424-0710 (数学教室事務室)
電子メール:koukai@math.sci.hiroshima-u.ac.jp  

交通、宿泊情報など

広島大学理学部 数学教室

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