主催 | 広島大学理学部数学教室 |
共催 | 東広島市教育委員会 |
広島大学総合科学部数学教室 | |
後援 | 広島県教育委員会 |
広島市教育委員会 |
この公開講座は、大学公開事業の一つとして平成4年度に始められ たもので、今回は第8回目になります。 数学は諸科学の基礎として重要な役割をはたしていますが、同時に創造性と自由な発 想に富み、理論的な美しさを持っています。 数学に親しみ、その素晴らしさを広く共有していただくために、現在研究されている 数学の基礎的な考え方の一端を分かりやすく紹介し、数学が常に生き生きと発展して いる様子を理解していただこうとするものです。 今回も、数学の様々な研究分野から新しい題材を取り上げて、新しい講師陣によって 開催されます。 また、講義の他に、「コンピュータ見学ツアー」と特別懇談会「高校教育と大学教育 の接点」(高校教員の方と大学教員の懇談会)を企画しています。
平成11年8月4日(水)、8月5日(木)
広島大学理学部 E002 講義室 (東広島市鏡山1−3−1)
高校生(学年不問)及び数学に関心のある方
約100名
無料
「点と線からなる図形」 大阪大学理学研究科 教授 難波 誠
推理小説では、名探偵が複雑に入り組んだ夾雑物を取り除いて、事件の本質を直視し、犯人を推理する。数学史に名高いケーニヒスベルグの橋わたりの問題において、数学者オイラーがまさに名探偵の役割をはたす。この講演では、オイラーがいかに推理したかを解説し、さらに迷路探検への応用、オイラーの多面体定理へと言及する。
1.橋わたりの問題 2.迷路探検 3.オイラーの多面体定理 4.ゲーム:スプラウト
「ゲーデル・よっしゃー・わっはっは」 理学部 講師 木村 俊一
これは先着5名様に1万円の商品券が当たる懸賞問題です。
懸賞問題:この懸賞問題に答がないことの証明を見つけよ
「そりゃ数学者はケチだから、商品券なんか出すはずがない。よってこの懸賞問題には答がない。」
「うーん、説得力はあるんだけど、証明にはなっていませんね。他の答は?」
「この懸賞問題に答があったとしましょう。ところがその答とは、懸賞問題に答がないという証明そのものなので、矛盾します。よって答はありません。証明終わり。」
「ふむふむなるほど。答はないわけですね。それで?」
「『それで?』じゃないでしょう。答がないことを証明したんだから、商品券下さい。」
「おや?あなたは答がないことを証明したんじゃありませんでしたっけ?そのないはずの答を持ってこられても困るんですけど。」
ゲーデルが発見した不思議な数学、答はないし、答がないという証明もない、という現代集合論の世界にご招待します。
「数学における「距離」について」 理学部 講師 木村 正人
皆さんは「AとBが近い」ということを数学で表現するにはどうしたら良いと思いますか? 解答例 - AとBの間のキョリが短い。ではキョリとはなんでしょうか。2点間の距離を学校で習いますが、実際の直線距離は短くても行くには時間のかかる場所というのもあります。
大学の数学では、普通の距離ばかりではなくいろいろなキョリを取り扱います。普通の2点間の距離が満たす性質として三角不等式が知られています。大学の数学では、このネコでも知ってる三角不等式(ネズミを取るのに回り道をするネコはいません!)をもとに「抽象化」されたキョリを定義し、様々なもの - 関数や図形など - の「近さ」を計ることが出来ます。
講義では大学の数学における「抽象化」の一例である「距離空間」について説明し、様々なキョリ - AとBが関数や図形のとき -を実際に皆さんに計っていただく予定にしています。また、未だ大学の数学でも計ることの出来ない「近さ」や「遠さ」があることにも触れたいと考えています。
この講義によって高校数学と大学数学の間の「距離」が少しでも縮まることを期待しています。
2日目の講義終了後、次のふたつの企画を並行して行います。
「コンピュータ見学ツアー」 : 理学部数学科の計算機室と大規模非線形数値実験室のスーパーコンピュータの見 学会
特別懇談会「高校教育と大学教育の接点」 : 教員の方を対象とした高校教育と大学教育の情報交換のための特別懇談会(特別懇談会への参加をご希望の方は申込書の特別懇談会参加希望調査欄に記入して 下さい)
8月4日(水) | |||
9:40 | - | 10:00 | 開講式 |
10:00 | - | 11:40 | 講義 (講師:難波 誠) |
昼休み | |||
13:00 | - | 13:30 | セミナー |
14:00 | - | 15:40 | 講義 (講師:木村 俊一) |
16:00 | - | 16:30 | セミナー |
8月5日(木) | |||
10:00 | - | 11:40 | 講義 (講師:木村 正人) |
昼休み | |||
13:00 | - | 13:30 | セミナー |
14:00 | - | 14:20 | 修了式 |
14:30 | - | コンピュータ見学ツアー・特別懇談会 |
封筒表面に「数学教室公開講座申込」と朱書し、別紙受講申込書(コピーをとって使用しても可)を同封の上、
〒739-8526 東広島市鏡山1-3-1 広島大学理学部数学教室公開講座係 宛に郵送してください。
受付期間は、平成年7月1日(木)から7月15日(木)(必着のこと) とします。 申し込みいただいた方には、受講票と本講座のテキストを送付いたします。
広島大学理学部数学教室公開講座係
電話:0824-24-7350(数学教室事務室)
ホームページ:http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/kokai.html
電子メール:kokai@math.sci.hiroshima-u.ac.jp
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