2005年度
第1回
- 日時: 5月24日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:大本 亨氏(北海道大学大学院理学研究科)
- 題目:Thom polynomials, equivariant Chern classes and their generating functions
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
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ここでのチャーン類とは,特異点を許す複素代数(解析的)多様体 X の所謂「チャーン・シュワルツ・マクファーソン類」を指します.これは共変的な「自然性」を有する X の全ホモロジー特性類であって,「正規化条件」( X が非特異ならば,接束の全チャーン類 c(TX) のポアンカレ双対に一致)を満たす唯一のものです.本講演の中心は,このチャーン類理論の同変版ーあるいは,``商スタックに関するチャーン・マクファーソン変換"ーです.
とくに応用として,(写像の特異点論等における)「特異点の特性類」であるトム多項式の一般化,さらに,対称積,ヒルベルト・スキーム等の``次数付き空間の系列"に対する「オービフォルド・チャーン特性類」の母関数表示などに関して触れる予定です.
第2回
- 日時:5月31日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:中西 敏浩 氏(島根大学総合理工学部)
- 題目:Trace identities for SL(2,C) representation space of punctured surface groups
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- コンパクトかつ向き付け可能な曲面の基本群の忠実な
SL(2,C)-表現の空間を基本群のある部分集合上のトレース関数によってパラメトライズしようという発想はトレースの共役不変性や幾何学的意味づけから自然なことに思われる。
しかし、そうした部分集合の選び方やトレース関数の間の関係式などについて最近になって判ったことやまだ判っていないことが多い。
この講演ではとくに穴あき曲面の基本群を扱い、その中でも穴を周回する閉曲線のホモトピー類の像が放物元であるような SL(2,C)-表現の空間について得られた結果を紹介する。
双曲3次元多様体の SL(2,C)-表現やトレース関数に関連する話題についても触れる予定である。
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第3回
- 日時:6月7日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:津野 義道 氏(上智大学経済学部)
- 題目:Kalman--Bucy フィルター理論
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 広く実験科学では『理論と観測』が重要である。
しかし多くの場合, 事象を観測してデータを採取するとき
には``観測誤差''を伴う。
社会科学を含む「観測科学」においては,
理論仮説で得られる現象の挙動を観測によって確認・修正
することが要請される。
観測によって最適に修正された観測対象を用いて
将来の予測を精密化することも重要な応用になる。
Kalman--Bucy フィルター理論で取り上げる状況は, 次である。
興味の対象となる現象は, Wiener 過程による
不確実性を伴う現象であり,
それは確率微分方程式で規定される。
観測の目標である確率過程を「システム過程」
という。
システム過程を観測する場合も観測誤差がある。
その観測誤差も Wiener 過程による
確率微分方程式で与えられると仮定し,
システム過程と観測過程に現れる Wiener 過程は独立とする。
Kalman--Bucy フィルター理論の目標は, 観測過程を基準にして
システム過程の最適な評価過程を求めることである。
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第4回
- 日時:6月28日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:Professor G. Jogesh Babu (Department of Statistics, The Pennsylvania State University)
- 題目:Resampling methods for semi-parametric goodness of fit tests
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
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Nonparametric goodness of fit tests are generally
based on the empirical distribution function. A well
discussed problem of goodness of fit tests when parameters
are estimated will be revisited. Bootstrap methods to
estimate the null distributions, of various goodness of
fit test statistics, will be presented. These results
hold not only in the univariate case but also in the
multivariate setting. These ideas are taken a step
further to develop non-parametric resampling methods
for inference, when the data comes from an unknown
distribution which may or may not belong to a specified
family of distributions.
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第5回
- 日時:10月18日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:内山 成憲 (NTT情報流通プラットフォーム研究所)
- 題目:現代暗号入門
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
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現代暗号理論は1970年代に誕生し、現在も急速な発展を遂げている。
ここでは、暗号の歴史上最も革命的な発明とも言える公開鍵暗号を
中心に、その歴史を簡単に振り返りつつ、最近の研究動向について
まで概観する。
第6回
- 日時:11月15日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:岩田 覚 (東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻)
- 題目:離散最適化法の数理 --- 劣モジュラ関数最小化
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
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劣モジュラ関数は,行列の階数,ネットワークのカット容量,
多元情報源のエントロピー関数など,応用数学の広範な分野で
現れる集合関数であり,凸関数の離散版として認識されている.
数理計画法においては, 1970年に J. Edmonds によって重要性が
指摘されて以来,効率的に解くことのできる離散最適化問題に
共通の構造として注目されてきた.本講演では,劣モジュラ関数の
最小化を中心に,離散最適化法の最近の進展を紹介する.
2004年度以前
Date: 2005.10.19
談話会係 榎本 彦衛・田丸 博士・柴田 達夫
大学院理学研究科数学専攻