2004年度
第1回
- 日時: 4月27日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:木村 俊一 氏(広島大学大学院理学研究科)
- 題目:Bloch 予想(代数曲面の0サイクルについて)
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
-
Abel-Jacobi の定理は19世紀数学の最高の定理の一つである。現代的に言うと、
リーマン面の(十分多くの)対称積がヤコビ多様体上の射影束となることが述べられており、
特に射影直線上の変形を「ホモトピック」とみなした代数幾何的なホモロジー理論を考えた時
(このようなホモロジー理論を Chow 群と呼ぶ)、リーマン面の
Chow 群の構造を決定した定理になっている。Abel-Jacobi の定理によれば、
リーマン面(つまり代数 曲線)の0サイクルのChow 群はZとヤコビ多様体の直積となり、
そのヤコビ多様体の次元はリーマ ン面の種数に一致する。
Bloch 予想は、Abel-Jacobi の定理の深い意味での代数曲面への一般化を目指したものである。
代数曲面の0サイクルの Chow 群は、Zとアルバネーゼ多様体、
それとアルバネーゼ・カーネルと呼ばれる3つの群の直積となることが知られているが、
幾何種数が0のとき、アルバネーゼ・カーネルが0になることを予想する。
Bloch予想は、幾何的 に見ると、代数曲面の無限個の対称積が、
有限個の対称積と劇的に異なる場合がありうることを予言しており、その意味で大変大胆な予想に見える。
一方モチーフの視点からはサイクルマップの全射性と単射性が同値であることを主張しており、
自然な予想に見える。特に「モチーフの有限次元性」というアプローチについて紹介する。
第2回
- 日時: 5月11日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:俣野 博 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
- 題目:ペンローズタイル内を伝播する進行波について
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 進行波とは,本来は形を変えずに一定速度で進行する波を指す.
このような波は進行方向に一様な媒質にしか現れない.
しかし10年あまり前から,非一様な媒質に対しても,
進行波の概念が一般化できることがわかってきた.
とくに空間周期的な非一様性の場合は,この10年で研究が大幅に進歩した.
また最近は,準周期的あるいは概周期的な非一様性の場合についても,少しずつ理解が進んでいる.
しかしながら,媒質がペンローズタイル状の非一様性をもつ場合は,
一般の通念に反して,方程式の係数は準周期どころか概周期関数のクラスにも入らない.
このため,進行波が平均速度をもつかどうかという問題も未解決であった.
本講演では,進行波に関するこれまでの一連の研究の流れを概説するとともに,
ペンローズタイル中の進行波の性質を論じる.
- (なお、この週には同氏の集中講義が予定されています)
第3回
- 日時: 5月18日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:Richard Crew 氏 (Florida 大)
- 題目:Differential systems on the unit disk
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
-
A result of Malgrange asserts that the germ of a regular holonomic D-module
at a point of a complex curve is determined by its nearby and vanishing
cycles (or equivalently, by its hyperfunction and microfunction
solutions). In the irregular case, one needs additional information on the
growth of solutions (Stokes' phenomena). I will first recall these results
of Malgrange, and then explain how a similar construction can be made in
positive characteristic.
-
(なお、同氏の
代数学セミナー講演
が 5/7, 5/21 に予定されています。)
第4回
- 日時: 5月25日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:坂根 由昌 氏(大阪大学大学院情報科学研究科)
- 題目:ベジエ曲線とベジエ曲面
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- ベジエ曲線・曲面は自動車などの工業製品のデザインの設計に用いる曲線や曲面の一つとして考案されたものである。
有理ベジエ曲線は、制御点と重みを与えるとき、ド・カステリョ (de Casteljau) のアルゴリズムから定まる有理式のパラメータ曲線で、
ベルンシュタイン多項式を用いて表わされるものである。
例えば、3つの制御点と重み を与えることにより、2次曲線(放物線、楕円、双曲線の一部分)は有理ベジエ曲線として表わされる。
一方、1995年に Chou は円全体が6個の制御点と重みを用いて、5次の有理ベジエ曲線として表わされることを示した。
これは C1 級の曲線となっている。
この講演では,ベジエ曲線・曲面の基本的性質を解説し、円全体が C2 級となる有理ベジエ曲線表示が存在するかを考える。
また、いくつかの閉じた有理曲線に対しても、有理ベジエ曲線表示があるかを考察する。
- (なお、この週には同氏の集中講義が予定されています)
第5回
- 日時: 6月8日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:Susan Williams 氏 (South Alabama University)
- 題目:Knots, Symbolic Dynamics and Mahler Measure
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
-
Knots have been studied using a wide variety of algebraic
and combinatorial techniques. In this introductory talk we describe
joint work with Daniel Silver that uses tools from two areas of
dynamical systems. Symbolic dynamics allows us to derive new
invariants from the knot group that are described combinatorially by
finite directed graphs. Algebraic dynamics gives insight about
another classical knot invariant, the Alexander module, and leads to
connections with a famous question in number theory.
第6回
- 日時: 6月22日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:中本 敦浩 氏(横浜国立大学 教育人間科学部)
- 題目:N-flips in even triangulations on surfaces
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
-
閉曲面上に埋め込まれたある条件を満たす2つのグラフが,
定義された局所的変形によって,その性質を保存しながら,
互いに移り合うかどうかという問題を考える.
特に,閉曲面の三角形分割,四角形分割,さらには,
各頂点の次数が偶数である三角形分割(偶三角形分割,even triangulation)を扱
う.
三角形分割の対角変形に関する研究は,1936年に始まり,
今現在でも盛んに研究が行われている.
四角形分割に関する研究は,
三角形分割の場合を模倣する形で進められたが,
そのまま単純には拡張できず,
閉曲面のホモロジー的不変量の導入が必要であった.
近年,閉曲面の偶三角形分割に対して,
「N-flip」という変形を導入することにより,
これまでの2つのクラスとほぼ同様の理論が成り立ちそうな感触をつかんだ.
それに関する部分的な結果と予想について述べる.
-
(なお、この週には同氏の集中講義が予定されています)
第7回
- 日時: 7月6日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:高橋 智 氏(奈良女子大 大学院人間文化研究科)
- 題目:魚の左利き右利きのダイナミクス
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
-
アフリカのタンガニイカ湖に棲息するスケールイーター(鱗食魚)は,口の開く向きな
どに左右性の多型が存在する.右利きの割合は 0.5 を中心に約5年周期で振動してい
る.この現象を差分方程式でモデル化し,振動には餌となる魚の警戒による頻度依存
選択と,スケールイーターの成長期間による時間遅れとが重要であることを示した.
湖の北岸では1種のスケールイーターが優先するが,南岸では2種のスケールイーター
が同程度の密度で共存していて左右性多型の振動は2種で同期している.2種のスケー
ルイーターが共存している状況で,左右性多型の振動の影響を時間遅れのある微分方
程式を使ってモデル化し調べた.ほとんどのパラメータ領域で,振動により左右性多
型が安定に維持されること,また2種の成長期間の差が大きい場合には振動が2種の共
存を促進することなどがわかった.
- (なお、この週には同氏の集中講義が予定されています)
第8回
- 日時:10月19日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:藤解 和也 氏(金沢大学大学院自然科学研究科)
- 題目:函数方程式 $f_1^m + f_2^m + ... + f_n^m=1$ と Picard, Nevanlinna, Cartan の定理
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- R. Nevanlinna による有理型函数の値分布理論の出発点は、いわゆる Picard の小定理である。E. Borel は、平面全体で定義
された非定数有理型函数の像がリーマン球面上に於いて除外し得る点の個数は高々2であるというこの主張が、ある函数方程式に「自
明でない」解が存在しないことと同値であることに着目し、この考えを発展させて「値分布の一意性」問題などの研究に応用し
た。Nevanlinna(あるいは後に Ahlfors)は、この像リーマン面の被覆の様子にも注目し、ある意味での「均一性」を証明した。これ
から「除外指数」の総和が常に2以下であることが従い、Picard の定理の精密化を得る。この場合の考察もある函数方程式に関する非
自明な解の存在問題と結びつく。ここで現れるのは $f^m+g^m=1$ といういわゆる Fermat の方程式である。Nevanlinna の定理を用い
ると、有理数の解を求める場合とは異なり非定数有理型函数解は $m>3$ で存在しないことが示され、また $m=3$ での解は楕円函数を
用いて与えることができる。この講演では、これらの古典的な結果とそれに関連する例えば有理型函数についての「Waring の問題」な
どの紹介から始めて、対象を有理型(正則)曲線とした H. Cartan の定理に対応する表題に掲げた函数方程式に、有理式あるいは超越
的な有理型函数による解が存在するか否かという問題を考察する。これまでに見つかった解の具体例を紹介するとともに未解決である
問題の周辺についても述べたい。
第9回
- 日時:11月2日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:Francesco Baldassarri 氏(イタリアPadova大)
- 題目:An algebraic proof of Deligne's regularity criterion
- Tea Time: 14:30 -
- 解説:
- The point of the talk is that of providing purely algebraic definitions and
proofs of otherwise known results on integrable systems of linear
differential equations with only a finite dimensional space of local
solutions over a smooth algebraic manifold. This talk represents work in
collaboration with Y. André and it is based on our joint book: "De Rham
Cohomology of Differential Modules on Algebraic Varieties", Progress in
Mathematics Vol. 189, Birkhaueser (2001). We correct some statements in that
book.
- 概要:
- 1. Review of the notion of regular singular point for a linear ordinary
differential equation with meromorphic coefficients. Global counterpart
"Fuchsian equations") on a Riemann surface.
- 2. Examples: Hypergeometric equations on the projective complex line, with 3
singular points.
- 3. Generalisation of the notion of regular singularity along a divisor to
integrable overdetermined systems of linear PDE's over a complex algebraic
manifold, and of the notion of fuchsian connection on an algebraic vector
bundle.
- 4. Deligne's canonical extension of a Fuchsian connection on a smooth
complex algebraic variety, as a logarithmic connection with singularities
along a divisor with normal crossings on a Hironaka compactification.
- 5. Deligne's criterion of regularity on a normal (not necessarily smooth!)
compactification: one only needs to consider the behaviour along the
divisors at infinity.
- 6. (Counter)examples of J. Bernstein to some statements in loc. cit..
- 6. A short and purely algebraic proof of 5.
臨時談話会、やや学生向け
- 日時:11月8日(月),14:00-15:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:萩田 真理子 氏(お茶の水女子大理学部)
- 題目:シミュレーション用擬似乱数の配置問題とグラフの彩色問題
- Tea Time: お茶はありません
- 要旨:
- 並列計算機でシミュレーションをするときに、各計算機で擬似乱数を発生させて用いることがあります。(例: 核分裂の様子を調べるとき、空間を小さな区域に分割して、それぞれの領域での確率現象を、各計算機で生成した擬似乱数を用いて計算させる。)しかし、近くの現象を扱う計算機が全く同じ擬似乱数列を生成していたら、それによる偏りがおきてしまいます。相関が大きい場所では、なるべく違う関数で生成された擬似乱数を用いた方が正しい結果を得られます。何種類かの関数しかないときに、どのように割り振れば良いでしょうか? この問題はグラフの彩色問題として書き表すことができます。
- 今日は、4色定理など古くから行われてきたグラフの彩色に関わるグラフ理論の解説と、シミュレーションのためのグラフ彩色の研究の紹介をします。
第10回
- 日時:11月9日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:竹井 義次 氏(数理解析研究所)
- 題目:WKB 解析と(高階)Painlevé 方程式
--- WKB 解析と``可積分性''の関連をめぐって ---
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 100 年余り前 Painlevé と Gambier によって発見されたPainlevé
方程式は,「解の動く特異点は極のみである」や「線型方程式系の
モノドロミー保存変形を記述する方程式である」といった非常に良い
性質(``可積分性'')をもつ2階の非線型常微分方程式である.
講演者は 1990 年代半ばに,河合隆裕(京大数理研)氏や青木貴史
(近畿大理工)氏達と共同で,(完全)WKB 解析の視点からこの
Painlevé 方程式の研究を行った.
本講演では,特に WKB 解析と``可積分性''の関連性に注目した
Painlevé 方程式に対する WKB 解析の理論の見直しと,それに基づく
高階 Painlevé 方程式への WKB 解析の拡張についてお話ししたい.
(完全)WKB 解析では,例えば2階の線型常微分方程式の場合に
典型的に見られるように,微分方程式の主部から定まる特性方程式
の根(``特性根'')の周回積分が,解の大域的な性質を記述するのに
重要な役割を果たしている.
その類似として,Painlevé 方程式の場合にも,ゼロパラメータ解と
呼ばれる特別な形式解における Fréchet 微分(線型化方程式)の
特性根の周回積分が,Painlevé 方程式の解の大域的な挙動を統制
していると期待される.
この講演では,この Fréchet 微分の特性根の周回積分を,モノドロミー
保存変形を通じて Painlevé 方程式に付随する線型方程式系
(``Lax pair'')の特性根の周回積分と関連づけて論じる.
さらに,こうした Fréchet 微分の特性根の周回積分と Lax pair の
特性根の周回積分との間の関係は,代表的な高階 Painlevé 方程式に
対してもほぼそのままの形で成立する.
この事実を基礎として現在展開されつつある高階 Painlevé 方程式への
WKB 解析の拡張についても(時間の許す範囲で)触れる予定である.
第11回
- 日時: 11月16日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:小林 亮 氏(広島大学大学院理学研究科)
- 題目:多結晶構造の時間発展のモデリングとシミュレーション
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 物質科学においては様々なタイプの界面が現れる。固液界面に代表される相間界面や
多結晶物質における粒界はその代表的なものである。フェーズフィールドモデルは
相間界面の運動を記述するモデルとして大きな成功をおさめたモデルである。しかし、
このモデルには結晶構造の向きに関する情報が含まれていないため、多結晶構造を
扱うことはできなかった。我々は向きの情報を含めたフェーズフィールドモデルを
構築し、相間界面と粒界を統一的に取り扱えることを示した。このモデリングに
おいては、向きの変数の方程式の導出がキーとなる。このために、特異拡散方程式の
理論を展開した。
第12回
- 日時:12月7日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:伊藤 秀一 氏(金沢大学理学部)
- 題目:「ベクトル場の標準化と可積分性」
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 力学系の不動点近傍での解析では、ベクトル場や写像の標準形を
考えることが基本的である。最も簡単な標準化は線形化であるが、
応用上重要な系には線形化ができない場合も多い。ハミルトン系は
そのような系の代表であるが、その標準化は Birkhoff 標準化と呼
ばれ、その理論は可積分性と深く結びついている。この講演では、
一般のベクトル場の可積分性をハミルトン系に対する Liouville の
意味での可積分性の拡張として捉えることにより、ベクトル場の標
準化と可積分性の間に密接な関係が成り立つことを述べる。
第13回
- 日時:12月14日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:藤越 康祝 氏(広島大学大学院理学研究科)
- 題目:多変量解析における漸近展開近似の現状と展望
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 統計学においては, 各種統計量の標本分布を求めることが重要であるが、
統計量によってはその分布を正確に求めることが困難であるとか, また,
たとえ求められたとしても数値的に利用し難いことが生じている。
このような状況は, とりわけ多変量解析においてしばしば生じる.
このため、なんらかの近似を求めることが重要で, とくに,
(1) 標本数 n を大にしたときの極限分布の精密化であるエッジワース (Edgeworth) 近似,
(2) サドルポイント (Saddlepoint) 近似,
(3) ブートストラップ (Bootstrap) 近似
が研究され, 発展して来ている.
この報告では, まず, 平均パラメータに関する代表的検定統計量に焦点を当てながら,
これら3つの近似法を概観する.
次に, これらの近似の精度として, エッジワース近似の誤差限界に関する最近の成果を紹介する.
これらの多くは, 変数の次元 p を固定し, 標本数 n を大にしたときの近似である.
最近, 変数の数が標本数より大きい場合の推測問題,
所謂「n << p」問題が21世紀のチャレンジ問題の1つになっている.
この問題に関連して, 高次元の枠組みでの漸近理論を発展させる必要があるが,
最近, 若干の成果が得られているので, これらの結果についても概観する.
最後に, 今後の課題を展望する.
第14回
- 日時: 1月25日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:花村 昌樹 氏(東北大学大学院理学研究科)
- 題目:モティーフ理論の基本について
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- 以下について分かりやすく説明をします。
1. Grothendieckは, ケーラー多様体の(Q-係数の)コホモロジーと有限体上の代数多様体のコホモロジーの類似性を出発点として,
純モティーフの理論を展開し,いわゆる標準予想に基づいて純モティーフの圏の半単純性などの強い結果を導いた。
一言で述べると, コホモロジーの関手的ふるまいは理想的に単純であり, Weil予想などの深い定理はその帰結である。
2. Blochのアイディアに触発され、Beilinsonは混合モティーフ理論を想定した。これは
(1)純モティーフ理論の拡張であり, (2)Chow群, さらに代数的K理論と直接に関係し,
(3)ゼータ関数の研究に示唆を与える。その後, 体の上の混合モティーフ理論の構成は与えられた。
(これについては集中講義でも詳しく述べます。)
3. 純および混合モティーフの概念は相対的なものに拡張することができる。
つまり代数多様体のうえのモティーフ層(モティーフの族と考えてよい)のなす圏を定義できる,
そして理論がより実効的となる。これは構成可能層の三角圏およびPoincaré-Verdier理論の類似とみなすことができる。
第15回
- 日時: 3月 8日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:Prof. Murray Gerstenhaber(University of Pennsylvania )
- 題目:Deformation Quantization
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨:
- The fundamental work of Bayen, Flato, Fronsdal, Lichnerowicz
and Sternheimer showed that algebraic deformation theory can be used to
give an interpretation of quantum mechanics independent of operator
algebras. This has raised many questions, including that settled by
Kontsevich of whether any Poisson manifold can be quantized. The talk
will give a brief review of the subject.
第16回
- 日時: 3月15日(火),13:30 - 14:30
- 場所:大学院理学研究科 B707号室
- 講師:Prof. Francisco González-Acuña (National Autonomous University of Mexico, Osaka City University )
- 題目:A formulation of the Poincaré Conjecture using knot groups
- Tea Time: 14:30 -
- 要旨: pdf file
2003年度以前
Date: 2005.3.8
談話会係 松本 眞・須川 敏幸・野々村 真規子
大学院理学研究科数学専攻