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2006年度解析学 I >
2006年度解析学 I の講義を終えて
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この講義では,
実数(上限・下限), 数列(収束・発散),
関数(連続・中間値の定理・微分・平均値の定理)について扱った.
これらの概念を学ぶことも重要だが,
それ以上に, 論理記号や証明の書き方に慣れることに重点を置いた.
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教科書は「微分積分学」(笠原晧司 著, サイエンス社)を用いた.
また講義の際には, 内容をまとめたプリントを配布した.
このプリントには演習問題が載せてあり, その半分くらいは講義で例として紹介し,
紹介しなかった残りの問題の解答は,
レポートとして提出しても良い(しなくても良い)とした.
これは, 担当者が証明の書き方の添削をしますよ, という趣旨だったが,
上手く活用した学生も若干名は居た.
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講義の目標には
「ロピタルの定理やテイラー展開などを紹介する」
と書いてしまったが, 到底そこまでは到達出来なかった.
しかし, 恐らく次に同じ科目を担当したとしても,
今回と同じくらいしか進まないと思われる
(そもそもの予定が無理であった, ということに, 途中でやっと気が付いた).
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講義中に証明する場合,
「示すべきことは何か」
を最初に宣言し, まずそれを黒板に書くようにした.
そして, その示すべきことに従って(順番を律儀に守って)証明を行うように心がけた.
特に, その順番を意識させる為に, 証明のパートごとに番号を付けたりした
(示すべきことが「∀y, ∃x : y=f(x)」の場合,
証明は「∀y」「∃x」「y=f(x)」の3つのパートに分かれる, というようなこと).
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この講義では中間試験および期末試験を行った.
試験問題には, 必要な定義をほとんど書いておいた.
その上で「定義に従って証明せよ」という問題を多く出題した.
少なくとも, 「示すべきことは何か」は, 殆どの学生が理解していたと思われる
(必要な定義が問題文のすぐ上に書いてあるから,
それを写すだけなのだけど, しかし,
まずそこで躓く学生が多い, というのが担当者の経験則).
しかし, 示すべきことが分かっていても証明が書けない(あるいは足りない),
というパターンの学生が多く, 試験の結果が良かったとは到底言えない.
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成績評価は, 中間および期末試験の点数を元に付けた.
なお, ボーダー付近では,
レポートおよび試験問題に書かれた自由問題を参考にして, 加点を行った.
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今回の解析学 I では, 演習の時間に小テストおよびレポートを多く行っていた.
それによって学生は随分と鍛えられたと感じた.
個人的には, 講義と演習の連絡が良く取れており, 協力して進められたと思う
(一方的に助けられていたとも言うが).
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最後に学生の方々へ.
数学科のほぼ全ての講義に於いて,
定義に従って物事を理解し, 証明することは, とても重要なことで,
それが出来ないと何も分からない, 何をやってるかすら分からない,
ということになりがちです.
今回の解析学 I で学んだことは, その初歩です.
単位が貰えたから万歳, ではなく, 中身・考え方を身に付けるように,
復習をしておいて下さい.