幾何学特殊講義・多様幾何特論 D (2004年度後期) の講義を終えて



この講義では, リーマン幾何への入門的な講義を行った. 前半部分では超曲面(曲面論の復習を兼ねて)と多様体を扱い, 後半でようやくリーマン多様体が登場する, というスローペースな講義であった. これは, 初回講義時にアンケートを取り, 予備知識や学生の専門としている分野を調査した結果である (微分幾何を専門としていない受講者が大部分であった). リーマン多様体に関しては, 定義・曲線の長さ・Levi-Civita 接続・測地線・曲率テンソル・断面曲率を紹介した. また, 特に実双曲平面に関して, かなり詳細に具体的な計算を紹介した.

参考書として以下のものを挙げた: 参考書に加えて, 講義では, その日に登場する定義や定理の主張をまとめたプリントを作成し, 毎回配布した (作成が間に合わなかった週もあるが). そのプリントは, http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/~tamaru/kyoiku.html 辺りからダウンロード出来る. また, 講義の最後の 20 分程度を演習の時間として取り, 具体的な計算問題をいくつか与えた. その問題のいくつかはレポートとして提出して貰い, 成績はそのレポートを元として付けた.

全般に受講者は熱心に出席しており, レポートも提出されたものは良く書けていた. 一方で当然かも知れないが, 演習問題を前にして, 何をしてよいかさっぱり分からずに全く手が動かない学生も居た. しかし, 学生同士で相談したり分からないところを説明し合うなど, 演習問題への取り組みは非常に良く, こちらへの質問等も (活発とまではいかなくても) 時々あり, やりやすく楽しめる講義であった.


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