2012年度広島確率論・力学系セミナー
11月のセミナー
- 2012年11月27日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:田中 晴喜 氏 (和歌山医大)
- 題目:記号力学系の特異摂動:熱力学形式に関する量とGibbs測度の収束性
- 概要:2つのMarkovサブシフト$(\Sigma_{A}^{+}, \sigma_{A})$,
$(\Sigma_{B}^{+},\sigma_{B})$を用意し,それらの構造行列$A, B$が
同じ大きさで,$A(ij)\geq B(ij)$という条件を仮定する.
$(\Sigma_{A}^{+}, \sigma_{A})$の方には位相的混合性を仮定する.
$\Sigma_{A}^{+}$上で定義されるパラメータ$\epsilon$付きのポテンシャルを
うまく与えると,その位相的圧力,Gibbs測度,同測度の測度論的エントロピーが
$\epsilon\to 0$のとき,$\Sigma_{B}^{+}$上で定義されたあるポテンシャルの
位相的圧力,Gibbs測度,測度論的エントロピーにそれぞれ収束するようにできる.
その収束条件について論じる.
本講演では主に,$(\Sigma_{B}^{+},\sigma_{B})$が2つの推移的コンポーネント
に分かれている場合を考える.そして,ポテンシャルが一次漸近挙動している場合の
Gibbs測度の収束するような例と,たとえポテンシャルが高次漸近挙動していても
Gibbs測度が収束しないような例を与える.
12月のセミナー
- 2012年12月11日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:鄭 容武 氏 (広島大工)
- 題目:カオス的な2次写像力学系のマルチフラクタル解析
- 概要:閉区間$[-1,1]$上で2次写像の1パラメータ族
$f_a(x) = 1-ax^2$, $0 < a \le 2$を考える。
本講演ではこの写像族によってあたえられる力学系の
マルチフラクタル解析について高橋博樹氏(京都大学)との
共同研究により得られた結果を紹介する。
1月のセミナー
- 2013年1月29日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:中川 勝國 氏 (広島大理)
- 題目:自己相似集合のマルチフラクタル解析
- 概要:自己相似集合$K$上に推移行列$P$によるマルコフ連鎖の測度$\nu_{P}$を定める.
$\nu_{P}$の次元スペクトルは$P$の成分と相似比から作られる行列のスペクトル半径が1となるような重み関数のルジャンドル変換$\beta^{*}:(\alpha_{\min},\alpha_{\max})\to\mathbb{R}$として与えられる.
この事実の証明は,内点$\alpha\in(\alpha_{\min},\alpha_{\max})$に対し$\nu_{P}$の局所次元の$\alpha$-レベル集合$K_{\alpha}$を解析するのに「都合の良い」測度$\nu_{\alpha}$を構成することが鍵となる.
本講演では,$\alpha\to\alpha_{\min}$の時の$\nu_{\alpha}$の(弱収束位相での)集積点となっているような測度$\nu$がを$K_{\alpha_{\min}}$解析するのに「都合の良い」測度であることを示す.
$\alpha_{\min}$が$P$に対応するグラフのサイクルで記述できる量であることに注目し,グラフのサイクルに対するいくつかの概念を導入して$\nu$を調べ,$K_{\alpha_{\min}}$のハウスドルフ次元およびそれが0になるためのサイクルを用いた必要十分条件を与えることができた.
$K_{\alpha_{\max}}$についても同様の議論が可能である.
確率論金曜セミナー
- 日時:2012年7月27日(金)13:00から
- 場所:C624
- 発表者:井上 昭彦 氏
- 題目:多次元定常過程のスペクトル密度の分解に関する話題
- 日時:2012年8月3日(金)14:35から
- 場所:C624
- 発表者:中川 勝國 氏
- 題目:自己相似集合のマルチフラクタルについて
last modified on 2013.6.15
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