なんで数学するの。(1997/11/3)
最近、数学って、
社会のみなさんに「役に立たない」「古くさい」「時間の無駄」って、
やっかいものに思われてる気がします。
大学でも、数学科はもっと社会のニーズに答えるべきだ、っていわれるし、
名前も「数理科学科」「数理学科」「情報数理学講座」「多元数理学科」
になっちゃうし。数学科なくなっちゃう大学もあるしね。学生にも人気がない
気がする。かく言う僕も、学生の時には情報科学科に進んだものね。
でも、僕は、数学ってとっても大切なものだと思うのですよ。数学に移って
良かったと思っている。
それで、僕が私見で数学について抱いている思いを、ここに書き連ねて
おこうと思うのです。
特に、疑似乱数発生法Mersenne Twisterを使ってくれる人には、数学の
有用性をわかって欲しいのです。
でも、今日は風邪が悪化してきたのでまた今度。
まだ学科を決めていない大学生のために、96年
1月に書いた.pdfファイルだけ置いておこう。
1996研究室案内
(97年11月2日建設中)
数学って面白そう、って人に思ってもらえるようなサイトが
あったら教えて下さい。
論点をまとめておくと(97年11月3日)、
- 数学は社会的に効用があるか?(僕の答えはYes and No)
- 数学は社会的効用を念頭に置いて研究すべきか?
(僕はNoと思う、学者の良心において真実を探求すべきと。良心の
果たす責任はとても重いが。)
- 数学は役に立つべきか?役に立つ数学を研究するべく
だれかが制御すべきか?(それは大間違いと思う。)
以上の論点を見ているだけだと、何て手前味噌って思われるかも知れないのですが、
これは次の質問とパラレルなんです。
- あなたは社会的に効用があるか?(本当にある?数学よりある?)
- あなたは社会的効用を念頭に置いて活動すべきか?
(あなたは社会的に有効な人間になるために生きているの?)
- あなたは役に立つべきか?役に立つ人間になるべく
だれかが制御すべきか?(あなたは役に立つから存在していいの?役に
立たなくなったらいらなくなるの?)
あなたは、なぜそこにいるの。
今の、声の大きな意見は、
「社会のニーズに答えた大学を」だけれども、
それは
「社会のニーズに答えた人間・研究を生産する工場」
になることじゃない?大学は本当にそれでいいの?それなら
企業で経済主義でもできるんじゃないの?どうして大学が
必要なの?
むしろ、「社会のニーズに惑わされない、良心に基づいた
人間・学問をつちかう環境」であるべきなんじゃないの?
(その上、本当に「社会のニーズ」に答えられるのかどうかすら
怪しい。何か、山を切り崩し海を埋めて全てを畑にしようという考え、
牛は乳房だけあればよい、木は実のなる枝だけ残して全部切る、と言った
考えが
台頭していると思うんだけど?)
ここで、「良心」という言葉が軽く使われているけどこれがもっとも
重要かつ困難。E. Frommの言う人道主義的良心のことで、僕は良心を
持った研究者のことを学者と呼びたいのです。
そして、数学の世界は一つの美しい生態系だと思う。
では今日はここまで。