川又 将大 氏:
リー群が与えられたとき,その上の自己同型群と0でない実数が生成する群は,与えられたリー群上の左不変リーマン計量全体の空間に作用することが知られている.この群作用の観点から左不変リーマン計量を考察すると,各計量はこの作用の各軌道と対応する.ここで,``特別な左不変リーマン計量‘’は``特別な軌道‘’と対応するであろうと予想される.本講演では,この群作用が余等質性1作用になるような概アーベルリー群について,その上の左不変リーマン計量が左不変リッチソリトン計量であるための必要十分条件は,対応する軌道が孤立軌道であることを紹介する.
多田 安輝 氏:
カンドルとは結び目理論の文脈で多くの研究がなされている代数系で, 対称空間の一般化の一つでもある. 本講演では, カンドルの極という概念を対称空間論の観点から定義する. また, カンドルを極で割るという操作が自然に定義される. 主結果として, アレクサンダーカンドルというカンドルのクラスが極で割るという操作について閉じていることを紹介する. また, ある特別な形をしたアレクサンダーカンドルがいつ非自明な極を持つか, そして極で割った場合どのようなアレクサンダーカンドルになるかについて, 得られた結果を紹介する. 尚, 本講演の内容は大阪市立大学の田丸博士氏との共同研究に基づく.
近藤 裕司 氏:
本講演では, 3次元ハイゼンベルグ群とn-3次元ユークリッド空間(n≧4)の直積上には左不変ローレンツ計量が, スカラー倍と自己同型の違いを除いてちょうど6個存在することを紹介する. それら6個のうち, 1つだけ平坦な計量になっており, 残りの5個は全てリッチソリトン計量ではあるがアインシュタイン計量ではない. 一方でスカラー倍と自己同型の違いを除いた左不変計量の同値類は, ある対称空間への特定の群作用による軌道と同一視される. 我々が得た平坦な計量を軌道の退化の観点から, 唯一の閉軌道として特徴づける. 本講演の内容は, 大阪市立大学の田丸博士氏との共同研究に基づく.