8/11(火):川又 将大 氏 - ある概アーベルリー群上の左不変リッチソリトン計量
リー群が与えられたとき,その上の自己同型群と0でない実数が生成する群は,与えられたリー群上の左不変リーマン計量全体の空間に作用することが知られている.この群作用の観点から左不変リーマン計量を考察すると,各計量はこの作用の各軌道と対応する.ここで,``特別な左不変リーマン計量‘’は``特別な軌道‘’と対応するであろうと予想される.本講演では,この群作用が余等質性1作用になるような概アーベルリー群について,その上の左不変リーマン計量が左不変リッチソリトン計量であるための必要十分条件は,対応する軌道が孤立軌道であることを紹介する.8/11(火):多田 安輝 氏 - カンドルの極とアレクサンダーカンドルの極による商
カンドルとは結び目理論の文脈で多くの研究がなされている代数系で, 対称空間の一般化の一つでもある. 本講演では, カンドルの極という概念を対称空間論の観点から定義する. また, カンドルを極で割るという操作が自然に定義される. 主結果として, アレクサンダーカンドルというカンドルのクラスが極で割るという操作について閉じていることを紹介する. また, ある特別な形をしたアレクサンダーカンドルがいつ非自明な極を持つか, そして極で割った場合どのようなアレクサンダーカンドルになるかについて, 得られた結果を紹介する. 尚, 本講演の内容は大阪市立大学の田丸博士氏との共同研究に基づく.8/11(火):近藤 裕司 氏 - A classification of left-invariant Lorentzian metrics on some nilpotent Lie groups
本講演では, 3次元ハイゼンベルグ群とn-3次元ユークリッド空間(n≧4)の直積上には左不変ローレンツ計量が, スカラー倍と自己同型の違いを除いてちょうど6個存在することを紹介する. それら6個のうち, 1つだけ平坦な計量になっており, 残りの5個は全てリッチソリトン計量ではあるがアインシュタイン計量ではない. 一方でスカラー倍と自己同型の違いを除いた左不変計量の同値類は, ある対称空間への特定の群作用による軌道と同一視される. 我々が得た平坦な計量を軌道の退化の観点から, 唯一の閉軌道として特徴づける. 本講演の内容は, 大阪市立大学の田丸博士氏との共同研究に基づく.10/27(火):野崎 雄太 氏 (広島大学) - 写像類群の部分群とホモロジーシリンダー
曲面の写像類群の研究において,Torelli 群と呼ばれる部分群が重要な役割を担っている. そして Torelli 群の 3 次元類似としてホモロジーシリンダーの成すモノイドがあり,クラスパー手術を用いたフィルトレーションが入る. 本講演では,このフィルトレーションの次数商上に LMO 関手を用いて準同型写像を構成し,Johnson 準同型とは異なる情報を捉えていることを示す. 応用として,閉曲面の Torelli 群の部分群である Johnson 核について,その Abel 化にトーションが存在することを証明する. 本研究は佐藤正寿氏と鈴木正明氏との共同研究である.11/17(火):井口 大幹 氏 (広島大学) - Thick isotopy property and the mapping class groups of Heegaard splittings
向き付け可能な閉 $3$ 次元多様体 $M$ と $M$ の Heegaard 曲面 $S$ に対し, 左剰余類空間 $\mathrm{Diff}(M)/\mathrm{Diff}(M,S)$ は($M$ の)Heegaard 曲面の空間とよばれる. 本講演では次の結果について報告する.Heegaard 曲面の空間の基本群が有限生成になるための必要十分条件は, この空間における任意のループが “thick isotopy” により実現できることである.応用として, 双曲多様体の強既約 Heegaard 分解の写像類群は有限生成であることを示す. 本研究の議論は Heegaard 曲面の分類問題を扱うために考案された Colding-Gabai-Ketover の方法に基づいており, 主な道具として正規曲面(normal surface)の理論を用いる.