リー群の左不変計量全体を, 等長的 (またはスカラー倍を除いて等長的) という同値関係で割った空間を考察する. これらの空間は, 群の両側剰余類として表示することができる. 本稿では, このような表示が $3$ 次元 unimodular リー群に関する Milnor の結果の高次元化に相当することを説明し, また, 実際に高次元リー群に応用する際の候補として, 許容する左不変計量が少ないリー群の例を挙げる. 我々の結果は, リー群上の左不変な幾何構造の研究に, 対称空間内の等質部分多様体論が適用される可能性を示唆する. 本稿の内容は, 児玉広志氏および高原淳氏との共同研究で得られたものである.