講演内容:
Although stochastic volatility and GARCH models have been successful to
describe the volatility dynamics of univariate asset returns, their natural
extension to the multivariate models with dynamic correlations has been
difficult due to several major problems. Firstly, there are too many
parameters to estimate if available data are only daily returns, which
results in unstable estimates. One solution to this problem is to
incorporate additional observations based on intraday asset returns such as
realized covariances. However, secondly, since multivariate asset returns
are not traded synchronously, we have to use largest time intervals so that
all asset returns are observed to compute the realized covariance matrices,
where we fail to make full use of available intraday informations when there
are less frequently traded assets. Thirdly, it is not straightforward to
guarantee that the estimated (and the realized) covariance matrices are
positive definite.
Our contributions are? : (1) we obtain the stable parameter estimates for
dynamic correlation models using the realized measures, (2) we make full use
of intraday informations by using? pairwise realized correlations, (3) the
covariance matrices are guaranteed to be positive definite, (4) we avoid the
arbitrariness of the ordering of? asset returns, (5) propose the flexible
correlation structure model (e.g. such as setting some correlations to be
identically zeros if necessary), and (6) the parsimonious specification for
the leverage effect is proposed. Our proposed models are applied to daily
returns of nine U.S. stocks with their realized volatilities and pairwise
realized correlations, and are shown to outperform the existing models with
regard to portfolio performances.
講演内容:
最近,多変量推測理論において,変数の次元と標本サイズが共に大きい場合の推測理論が,ランダム行列論を利用して発展している.本講演では,まず,多変量解析と関連したランダム行列論について,概観する.次に,主成分分析における次元を推定するためのAIC及びBIC規準が高次元漸近的枠組のもとで一致性をもつための条件を考える.そこでは,標本共分散行列の固有値の高次元での挙動が重要となる.次に,高次元の場合のMANOVAや多変量回帰における固有値や検定統計量の漸近分布を取り上げる.本講演は,Bai,
Fujikoshi and Choi (ASに掲載予定),Bai, Choi and Fujikoshi (投稿中)に基づいている.
講演内容:
国民皆保険下にあるわが国においても,健康格差が顕在化する中,公的統計資料を用いた健康格差指標のモニタリングは十分ではない.現状で利用可能な公的統計資料のうち,国勢調査と人口動態統計およびがん登録資料を用いた健康格差指標の経時変化について報告する.地理的な社会経済指標を用いた死亡率・罹患率の時系列分析や都道府県の variation について評価するにあたり必要な統計的アプローチについて議論する機会としたい.
講演内容:
近年,金融時系列解析,計量経済学,水文学などの分野において,様々な非正則性を持つ時系列データが観測される.特に,関与のモデルが重い裾分布や長期記憶性を持つ場合,検定に用いる統計量の収束オーダーに推定困難な未知母数が含まれ,さらに漸近分布も煩雑なものとなる.また従属性や無限分散性により,古典的な最尤推定量やモーメント法推定量を用いることも困難である.そこで本講演では,非母数的な手法の一つである経験尤度法と様々な基準化法を組み合わせることによって従来の統計量を改良し,モデルの非正則性に影響されない頑健な統計的推測手法を構成する.さらに数値実験などにより既存手法との比較を行い,様々なモデルに対する提案手法の有効性を示す.
講演内容:
統計的仮説検定などの確証的データ解析とは異なり,探索的データ解析ではあらかじめ検証すべき仮説が定まっていないことが多い.例えば,階層型クラスタリングなどの教師なし学習では,クラスタリング後に検証すべき仮説が定まる.このような問題はpost-selection inferenceとして知られており,データから探索的に選択された仮説に対して統計推論を行うものである.近年では,Lassoによって選択された回帰係数の検定を行うための手法の一つとして注目を集めている.本講演では,いくつかの例を通してpost-selection inferenceについて説明する.また,post-selection inferenceによって, 観測された多変量系列から平均構造の変化点を検出するための手法について述べる.
講演内容:
近年,通信技術の発達により画像,テキスト,ユーザ情報,などといった,数百~数千次元の特徴ベクトルを持つ様々な種類のデータ(異種データと呼ぶ)が容易に得られるようになった.これら異種データを適切にマッチングすることで,あるデータから関係した異種データを検索できるようになる.このような異種データのマッチングには主に正準相関分析(CCA)などが用いられてきたが,CCAは異種データ間に1対1対応を仮定し,特定のユーザに多数関連付けられた画像データなどといった複雑に対応付けられたデータを扱うことができない.そこで,本発表ではまず,グラフで表される,異種データ間の複雑な対応付けを表現する確率モデルを提案する.提案した確率モデルにニューラルネットワークを用い,尤度に基づきニューラルネットワークを学習させることで,複雑な対応付けを持った異種データをマッチングできる.実際に論文引用や画像-テキスト間の対応付けを分析したところ,クラスタリングやリンク予測で非常に高い性能を示した.発表では,これらの実験結果を紹介し,その数理的な側面についても説明する.本研究は,京都大学の下平英寿教授と,大阪大学の羽田哲也氏との共同研究である.