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2007 年 10 月 12 日:
講演者:Zhenisbek Assylbekov 氏 (広島大・理学研究科)
講演題目:Rate of Convergence of Multinomial Log-likelihood Ratio Statistic to Chi-square Distribution
講演要旨:
Pearson's chi-square test is one of the most popular tests in statistical applications. It is based on Pearson's chi-square statistic. In 1972 Yarnold showed that distribution function of k -dimensional multinomial chi-square statistic converges to chi-square distribution with (k -1) degrees of freedom at the rate O (n -(k -1)/k). In my Master's Thesis I considered multinomial log-likelihood ratio statistic which is close to Pearson's chi-square statistic but is not identical with it. It was proved that the distribution function of three-dimensional multinomial log-likelihood ratio statistic converges to chi-square distribution with two degrees of freedom at the rate O (n -2/3).
2007 年 7 月 27 日:
講演者:松本 智恵子 氏 (福井大・教育地域科)
講演題目:ADF検定統計量を用いた共分散構造に関する検定について
講演要旨:
Browne (1984) により提案された ADF (Asymptotically Distribution-Free) 検
定統計量を用いた共分散構造に関する検定について考える.この検定統計量の帰
無分布はカイ2乗分布に分布収束することが知られているが,観測値の次元が大
きいときには,標本数がある程度大きい場合でもカイ2乗近似の精度が悪くなる
ことが知られている.本発表では,特に,共分散構造が線形構造の場合におい
て,帰無仮説の下での検定統計量に関する漸近展開式を導出し,その結果を利用
した近似の改良について考察する.
2007 年 7 月 13 日:
講演者:門脇 聖 氏 (広島大・理学研究科)
講演題目:ある条件を満たす α-resolvable BIB design の存在性
講演要旨:
α-resolvable BIB design におけるブロック数 b の下界の改良について,BIB design のパラメータの整数性を利用するために,(α,v -1)=1 という条件を満たす場合についての考察を行ってきた.その考察において,ブロック数 b の下界を「b ≥2(v -1)+t」と予想した.しかし,「r =k +λ」という条件を満たす場合のみが考察の対象として残った.そこで,(α,v -1)=1 および r =k +λ という2つの条件を満たす α-resolvable BIB design のパラメータについての考察を進めた.それらの design について α-resolvable という構造は考えず,パラメータのみに注目したとき,予想した不等式「b ≥2(v -1)+t」を満たさない BIB design の例が存在した.それらの design のうちの1つについて,構造を考えることにより α-resolvable でないことを示すことができた.さらに,(α,v -1)=1 および r =k +λ という2つの条件を満たす design について,パラメータの特徴付けを行うために,会合数 λ の値を固定しながら,design の存在性についての考察を行った.この考察により,予想とした「b ≥2(v -1)+t」を満たさない α-resolvable BIB design が存在するときのパラメータ系列を発見することができた.
2007 年 6 月 22 日:
講演者:秋田 智之 氏 (広島大・理学研究科)
講演題目:層別化逆回帰法とその改良
講演要旨:
本報告では層別化逆回帰法の欠点を改良した手法を紹介する.
層別化逆回帰法はモデル y =ƒ(β1'x, β2'x, …, βn'x, ε) を仮定したとき β1, β2, …, βn を推定するものであるが,リンク関数 ƒ が対称であるときには β1, β2, …, βn の推定に失敗するという欠点があった.
その改良法として従来の y の値によってのみで層別化していたことに加え,各層ごとに主成分分析を行って,その主成分の値によりさらに層を細分する方法を提案し,数値シミュレーション等様々な考察を行うことによって,この手法が有効であることを見る.
2007 年 5 月 11 日:
講演者:二宮 嘉行 氏 (九州大・数理学研究院)
講演題目:変化点モデルに対するAICとその応用
講演要旨:
時系列データにおいて,それを生み出す構造が不変であるという状
況は稀であり,どこかの時点(変化点)でなんらかの変化があると
いう設定を取り込んだモデル(変化点モデル)は,さまざまな分野
で必要となる.しかし変化点を意味するパラメータは通常のパラメ
ータとは性質が異なり,変化点モデルを扱うためには特殊な統計理
論が必要となる.本発表ではそれを説明したのち,統計的モデル選
択のための基本ツールであるAIC(赤池情報量規準)に焦点を当
て,変化点モデルのAICが通常のAICと異なることをみる.そ
して,そのAICが妥当な変化点モデルを選択する,つまり妥当な
変化数を推定することを数値実験でたしかめ,最後にある経済デー
タへの適用を試みる.
2007 年 4 月 27 日:
講演者:浅野 晃 氏 (広島大・工学研究科)
講演題目:Michalski の列車問題
講演要旨:
「Michalskiの列車問題」(Michalski train problem)とは, R. S.
Michalskiが1977年の論文で提示したもので,
添付ファイル
の図のようなイラス
トで描かれた「東行きの列車」と「西行きの列車」の例があるとき,「東行き
の列車」と「西行きの列車」を区別するためのルールを見つけよ,という問題
です.
Michalskiは,各列車の状態を記号列で表し,記号列の組み合わせによるルー
ルの生成→検証→修正を繰り返すことで,ルールを見つける方法を示しました.
このような研究は,当時「帰納推論」 (inductive inference) と呼ばれ,人工知
能研究の重要な分野でしたが,現在の視点からみると,データマイニングの源
流と考えることもできます.
今回のセミナーでは,私の研究人生の始まりに出会ったこの問題の解説と,
これを発端にした研究人生最初の研究とその挫折を,教訓話(?)も交えなが
らお話ししたいと思います.
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