2023年度広島確率論・力学系セミナー






4月のセミナー



2023年4月13日(木) 10:30~
場所:Microsoft Teamsによるオンライン形式
講演者:田中晴喜 氏(和歌山県立医科大学)
題目:グラフ構造をもつ反復関数系の漸近摂動とその応用その2
概要:有限グラフ又は可算無限グラフ構造をもつ反復関数系の摂動と力学的特性量(主に極限集合のHausdorff次元)の漸近挙動について例を中心に紹介する.具体例として,ショットキー型クライン群,複素連分数,区分的な線形拡大的写像の摂動を挙げる.また時間があれば,非共形反復関数系における次元の推定への応用とその例としてアフィン変換を取り上げる.


7月のセミナー



2023年7月28日(金) 14:30~
場所:広島大学理学部B棟7階B707室
講演者:濱名裕治 氏(筑波大学)
題目:双曲 Bessel 過程の到達時刻について
概要:実双曲空間上の Brown 運動が球面に初めて到達する時刻については, それが有限である確率が与えられている.しかし,出発点が球面の外側に ある場合は形が複雑でどのような量なのかがわからない. そこで,本講演では,通常の Bessel 過程と同様に 双曲 Brown 運動の半径方向を一般化した1次元拡散過程 (双曲 Bessel 過程とよばれる)を調べ, 到達時刻が有限である確率が簡素な形で与えられることを示す. さらに未解決であった出発点を無限大にするときの 漸近挙動についての解答を与える.


8月の研究集会



研究集会:広島確率論・力学系セミナー --Wakayama One day Workshop--
日時:2023年8月17日(木) 10:00~17:00
場所:和歌山県立医科大学 生涯研修センター 研修室
〒641-8509 和歌山市紀三井寺811-1 TEL:073‐447‐2300 https://www.wakayama-med.ac.jp/shisetsu/life/jigyou/shisetsu.html
世話人:中田寿夫(福岡教育大)、田中晴喜(和歌山県立医大、会場責任者)
10:00--11:30
講演者:中川勝國 氏(一関高専)
題目:力学系の転送作用素のコンパクト性について
概要:力学系に付随する転送作用素で、自然な位相ベクトル空間におけるスペクトルが、 コンパクト作用素のそれと類似した構造を持つ(i.e. 非零スペクトルがすべて多重度有限の離散固有値である)を考える。 この空間において転送作用素は実際にコンパクトであるか、そうでなければ、 転送作用素がその上でコンパクト作用素になり、かつそのスペクトル構造が 自然な空間の上でのそれと一致するBanach空間が構成できるかと問うのは自然な問題である。 本講演では、この問題に関する、講演者のものを含む結果を紹介する。
13:00--14:00
講演者:田中晴喜 氏(和歌山県立医大)
題目:On dimension estimates in graph iterated function systems on quasi-Banach spaces
概要:We study infinite graph-directed iterated function systems endowed with contraction mappings defined on quasi-Banach spaces. As main results, we give the upper and lower bounds of the Hausdorff dimensions of the limit sets of these systems by using solutions of pressure functions. To show our main results, we also present the quasi-Banach space version of the covering theorem and of the Frostman lemma.
14:15--15:15
講演者:中田寿夫 氏(福岡教育大)
題目:Abdin-Mahmoud-Modarres-Wang ゲームについての大偏差と公平性
概要:Abdin, Mahmoud, Modarres, Wang (2022) は単純な賭けのゲームにおいて 賭け指数(betting index)を導入して長期的にみて儲かっているかどうか アメリカンルーレットや二分ゲーム(binary game)など具体例を挙げて調査した。 本講演では、大偏差を調べることにより収束の速さを紹介し、 上述の例について具体的な数値を示しながら説明する。 さらには、賭けの公平性に関する注意を与える。
15:30--17:00
講演者:岩田耕一郎 氏(広島大)
題目:有限と可算無限の狭間
概要:確率論の数学的取り扱いの基礎として測度論をあげるのはKolmogorov以来のお約束となっている。有限加法性から可算加法性への転換が決め手だったわけである。 今更であろうが、そもそも有限とは何か?にふれ最も小さい無限である可算無限への私的な再認識を述べる。 例えば意識して使うかはさておき我々は選択公理にしばしば出会っている。 実はルベーグ測度の存在そのものにも選択公理が絡んでいるとのことでどうやらCaratheodoryの拡張定理がそうであると強く感じている。 そんな折Caratheodoryの定理は圏論におけるKAN拡張の例であるという主張に出会ったので、できればそれにも触れる。


10月のセミナー



2023年10月3日(火) 15:00~
場所:広島大学理学部E棟2階E208講義室(いつもとは違います)
講演者:Nhat-An Pho 氏(Hanoi National University of Education)
題目:Tamed-adaptive Euler-Maruyama approximation for SDEs with superlinearly growing and discontinuous coefficients.


11月のセミナー



2023年11月30日(木) 13:00~14:30
場所:広島大学理学部B棟7階B707室
講演者:中田寿夫 氏(福岡教育大学)
題目:ランダムに生成される再帰木におけるベルヌーイ畳み込みについて
概要:ランダムに生成される再帰木のノードの深さについて報告する。Dobrow, Smythe (1996) やLyon, Mahmoud (2020)などにより親和性 (affinitiy) が一様な場合やベキで表現される場合に独立なベルヌーイ確率変数の和として表されることが知られている。本研究では、これらの結果を一般化した上で極限分布を導出するが、特に親和性が正則変動する列の場合について考察する。本研究は Hosam Mahmoud 氏(George Washington大学)との共同研究である。


確率論セミナー






last modified on 2023.11.16
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