2008年度広島確率論・力学系セミナー
5月のセミナー
- 日時:2008年5月13日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:鄭 容武氏 (広島大工)
- 題目:1次元力学系の帰還時間と次元スペクトル
- 概要:一様双曲性を仮定しない1次元可微分力学系のマルチフラクタルについて考える。力学系が位相混合性と帰還時間関数に関するある条件を満たすとき、連続関数のBirkhoff 平均によって得られるレベル集合やエルゴード的鉢のHausdorff 次元は不変確率測度のエントロピーと Lyapunov指数の比によって表される。一方、準正則でない点の集合は第1類かつLebesgue 測度が0であるが、Hausdorff 次元は1、すなわち相空間の次元と一致する。
6月のセミナー
- 日時:2008年6月17日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:塩沢 裕一氏 (立命大理工)
- 題目:Central limit theorem for branching Brownian motions in random environment
- 概要:本講演では,ポアソンランダム測度を用いた
ランダム環境中の分枝ブラウン運動のモデルを導入し,次のことを示す.
(1)環境のランダムさが弱いとき,粒子密度は中心極限定理を満たし,
総粒子数の増大度はその期待値と正の確率で一致する.
(2)環境のランダムさが強いとき,総粒子数の増大度は
その期待値よりも低い.
7月のセミナー
- 日時:2008年7月15日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:田中 晴喜氏 (広島大理)
- 題目:記号力学系の特異摂動とそのgraph directed constructionへの応用
- 概要:我々は有限個のtransitive componentをもつ記号力学系の特異摂動を考察する.
いくつかの条件のもと,パラメータ付けられたGibbs測度と位相的圧力,測度論的エントロピー
の連続的な変化が得られる.我々はさらに,これらの結果をgraph directed constructionへ適用する.
この力学系がある種の退化現象をもつとき,生成される極限集合のHausdorff次元の漸近的な連続性
が得られる.講演ではcookie-cutter systemへ適用した場合の結果も紹介する.
10月のセミナー
- 日時:2008年10月28日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:熊谷 隆氏 (京都大理)
- 題目:飛躍型確率過程のポテンシャル論
- 概要:拡散過程や、対応する二階の自己共役作用素の調和関数の性質、
基本階のアプリオリ評価については、古くから多くの研究がなされ、
深い結果が知られている。これに対し、飛躍型確率過程に関する対応する問題は、
近年まであまり体系的な研究が進んでいなかった。
本講演では、これらの問題に関する講演者および共同研究者の
最近の研究について報告する。
1) Pure jumpのみの飛躍型確率過程
2) 拡散過程の部分がある、飛躍型確率過程
のそれぞれについて、基本階のアプリオリ評価、調和関数のハルナック不等式、
熱核評価、離散マルコフ過程の収束の問題に関する成果を報告し、
証明の際に鍵となる部分を紹介する予定である。
熊谷さんは数学科・数学専攻の集中講義をされます。
- 講義題目:複雑な系の上のランダムウオーク
- 日程と時間割:
- 月(10/27) 7,8時限
- 火(10/28) 3,4時限
- 水(10/29) 5,6時限
- 木(10/30) 7,8時限
- 金(10/31) 3,4時限
- 講義室:いずれも理学部B棟7階B707
また談話会でも10月28日に講演されます。
こちらの詳細は談話会のホームページをご覧下さい。
11月のセミナー
- 日時:2008年11月11日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:楠岡誠一郎氏 (慶應大理工)
- 題目:マリアバン解析による確率微分方程式の解の密度関数の存在性
- 概要:係数がリプシッツ連続よりも弱い連続性しか持たないときに確率微分方程式の
解が密度関数を持つかどうかについて考察した。そして、pathwise uniqueness
を持つような1次元確率微分方程式で拡散係数がリプシッツ連続でないようなも
のに対し、解の密度関数の存在に関する定理が得られた。本講演ではこの定理と
その応用を紹介する予定である。
12月のセミナー
- 日時:2008年12月2日(火)15:00〜
- 場所:広島大学理学部B棟B701室
- 講演者:濱名裕冶氏 (熊本大)
- 題目:Wiener sausage の体積の short time asymptotic について
科学研究費補助金(研究代表者 久保 泉)による研究集会「白色雑音系のカオスの研究2008」を12月24日13時30分から26日15時30分まで、広島大学東千田キャンパスで開催しました。
おかげさまでこちらの想定を大きく上回る17名の方の参加を頂き盛会となりました。
ありがとうございます。プログラムはこちらをご覧下さい。
last modified on 2008.12.26
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