●●● 談話会 ●●●

2022年度

第1回

日時: 5月 31日(火)13:00−14:00
場所: 理学部B707
講師: 村上順 氏 (早稲田大学)
題目: 体積予想とスピンネットワーク
要旨: 結び目の体積予想とは,ジョンーンズ多項式やその一般化と結び目帆空間の双曲体積との間の関係についての予想である.まずこの予想について説明し,このスピンネットワークへの応用について述べる.スピンネットワークとは,各辺にスピンと呼ばれる半整数がふられた3価グラフで,ジョーンズ多項式のスピンネットワークへの拡張がKirillov-Reshetikhin により構成されている.平面グラフに対応するスピンネットワークに体積予想の考え方を適用することにより,対応する双曲空間内の測地的多面体の体積が得られること,更には3次元球面内の測地的多面体の体積も得られることを紹介したい.

第2回

日時: 9月 28日(水)13:15−14:15
場所: 理学部E208
講師: 堀田一敬 氏 (山口大学)
題目: 非可換確率論と等角写像族
要旨: ある種の正則関数は確率測度による積分表現を持つことが知られている.そこで興味があるのは正則関数の性質と確率測度の性質との相互の関係性である.この問題において近年,非可換確率論において大きなブレイクスルーがもたらされ,ある種の等角写像の族(Loewner chain)とある確率過程の族との1対1対応の関係が示された.本講演では非可換確率論の紹介から始め,同理論における複素解析の役割やLoewner chainとのかかわりについて近年の結果を交えて述べたい.

第3回

日時: 9月 29日(木)13:00−14:00
場所: 理学部E208
講師: 高橋浩樹 氏 (徳島大学)
題目: 一般Greenberg予想とp単数のペアリング
要旨: 本講演では,まず代数体の岩澤理論の入門的な内容およびこれまでに得られている結果について概説し,未解決問題の一つである総実代数体のGreenberg予想およびその一般化について紹介する.この一般化された予想に対しSharifi氏は2008年の論文で1000未満の素数pに対しp単数群のペアリングの計算結果からp円分体に対する予想の成立を確認したが,講演者による4p円分体に対する計算結果や計算の動機などについてお話ししたい.

第4回

日時: 12月 6日(火)13:00−14:00
場所: 理学部B707
講師: 寺田吉壱 氏 (大阪大学)
題目: 関数データに対する半教師付き及び教師無し判別について
要旨: ある領域や区間上で連続的・断続的に観測されたデータをランダムな関数や確率過程の実現値として捉えたデータ解析は関数データ解析と呼ばれ,統計科学分野において盛んに研究が進められている.本発表では,関数データ解析において, 正例のデータと正例と負例が混在したラベルの無いデータのみから2値分類を行う特殊な半教師付き分類問題 (PU classification) と教師無し判別問題を扱う. 半教師付き分類問題においては, 関数データの潜在的な無限次元性に着目することで,射影に基づく距離関数を提案し,距離関数の推定量に基づくシンプルな関数データに対するPU classificationの方法を提案する.また, 教師なし判別問題に対しては, 正則化を用いた部分空間クラスタリング法を提案する. 通常の判別問題とほぼ同じ正則条件の下,これらの方法によって誤判別率が漸近的に0となるような分類が達成可能であることを示す. さらに, 選手生命に関わる怪我のリスクがある選手を特定する問題に提案手法を応用した例を紹介する.


2021年度以前


Last Update: 2022.5.23
談話会委員 木村, 伊森, 野崎, 橋詰

大学院先進理工系科学研究科数学プログラム