Cantor 極小力学系における Bratteli diagram、 位相共役、強軌道同型の関係につ いて
杉崎 文亮 (熊本大学大学院自然科学研究科)
Cantor 集合 から自分自身に作用する同相写像 で極小 (minimal)
となるものを考える。ここで が極小であるとは、任意の点
に対して集合(軌道)
が
で稠密であることを言う。以下これら2個の組 を
Cantor 極小力学系と呼ぶことにする。
Cantor 極小力学系は substitution や Toeplitz flow 等の
記号力学系 (symbolic dynamical system) や interval exchange
system 、加算機変換と呼ばれる力学系と密接に関わっており、
多数の専門家によって重要な結果が出されている。
本談話会では Bratteli diagram と呼ばれるグラフを用いて、
Cantor 極小力学系を表現する方法と、
それらの分類について解説する。
通常力学系での分類には位相共役(topologically conjugate)
で考えるものだが、
本談話会では更に強軌道同型(strong orbit equivalence)
と呼ばれる概念を導入する。一般に(強)
軌道同型は位相共役と比べると弱い同値関係になるが、
Cantor 極小力学系から作られる作用素環、 群(次元群)
の同型、順序同型問題と密接に関わっており注目されている。
解説するにあたって多くの定義を与えるが、初学者に分かりやすく 理解できるように、例や図を沢山用いるつもりである。 また事前に内容が知りたい人のために参考文献をあげておく。