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数学教室談話会アブストラクト(2001年5月8日)

Mordell-Weil 格子理論とその応用

伊藤 浩行 (広島大学大学院工学研究科)


楕円曲線の有理点のなす群を Mordell-Weil 群といい、数論的幾何学の最も基 本的研究対象の一つであるが、楕円曲線が大域体上定義されているときに楕円 曲線(の幾何)から決まる高さ関数(canoninal height)という重要な道具を用い ることにより Mordell-Weil 群を詳しく研究することが出来る。 そして、この高さ関数から決まる双一次形式を用いて Mordell-Weil 群を格子と みたものが Mordell-Weil 格子である。格子としては自然に A-D-E 型のルー ト格子が表れ、また更に興味深い Leech 格子、Barnes-Wall 格子なども表 れる。

講演では定義体が1変数代数関数体の場合に、小平-Neron モデルの理論、 曲面の交点理論を使い関数体上の楕円曲線の Mordell-Weil 群に格子構造を定 義しその性質を調べる。

一般に関数体上の楕円曲線は大きく分けて ``moving moduli''の場合と'' constant moduli''の2通りの場合があるが、前者はその構成から、密な球面充 填の構成や符号理論、暗号理論などへ応用があり、また後者は、 特異点理論(特異点の変形)、代数方程式論(Galois 理論)、モジュライ理論等 への応用などがある。どちらの場合も基礎体の標数が0の場合のみならず正の 場合が非常に興味深い。

講演では特に''moving moduli''の場合を、特異点の変形の視点から代数方程 式、モジュライ理論への応用という立場で紹介する。





Tohru Okuzono
2001-05-07