談話会アブストラクト(12/24)


「泡の形成機構」 --- 数理モデルからの考察 ---

奥園 透(名古屋大学大学院工学研究科)

多数の泡が集まると、二重膜で仕切られたセル状の領域で空間を埋め尽くした
パターンが形成される。このようなパターンが形成されると、系はゆっくりと
時間発展をし、自己相似的なパターンの粗大化が起こる。このような現象に対
して、我々は(多角形状の)セルの頂点の運動に着目してモデル化し、シミュレ
ーションを行った。その結果として、平均セルサイズによりスケールされたセ
ルのサイズ分布などが定常になることを示し、セルパターンの自己相似的な成
長を特徴づける。

このような系に外部から変形を加えるとどのような応答を示すか? 変形速度
がパターンの粗大化の時間スケールに比べて速い場合には、二重膜の中を流れ
る流体のエネルギー散逸が重要なプロセスとなる。したがって、我々はこのプ
ロセスを考慮してモデルを再構築し、ずり変形下でのシミュレーションを行っ
た。その結果、大変形領域で、セルの再配置に伴って大きくエネルギーを散逸
する過程と弾性的にエネルギーを蓄積する過程が間欠的に起こるという現象が
みられた。我々は、このセルの再配置に伴うエネルギーの解放過程を、泡の系
における「雪崩」現象と名付け、この現象が一回の「雪崩」で解放されるエネ
ルギーの分布が巾的になることで特徴づけた。

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