広島大学理学部数学科 代数数理グループ

2021年度の代数学セミナー

今年度はしばらく Zoom で行う予定です。
*Zoom へのログインの際はハンドルネームではなく、実名または研究用の通称をご使用ください。
*ミーティング登録の画面や登録後に送信されるメール等には毎週金曜日の日付が書かれていますが、広島大学代数学セミナーが毎週開催されるわけではありません。
*上記 Zoom は九州工業大学の平之内俊郎氏が運営にご協力くださっています。
通常の講演時間はおよそ 1 時間半です。

625(金)1620
助永 真之 氏(広島大学)
トロピカル幾何学入門(トロピカル平面曲線と双対多面体的複体)
$\mathbb{R} \cup \{ -\infty \}$ に2つの数の最大値を取る操作と通常の意味での加法で演算を定めたものはトロピカル代数と呼ばれ、半体をなす。この演算に関する多項式をトロピカル多項式と呼び、2変数トロピカル多項式からトロピカル平面曲線が定まる。これはある多面体的複体に双対になっており、このことからトロピカル平面曲線の概形を双対多面体的複体により知ることができる。

本講演ではトロピカル代数の基礎から始め、トロピカル平面曲線の双対定理、代数多様体のトロピカル化について紹介する。また、トロピカル平面曲線とその概形の例をいくつか見る。
730(金)1620
助永 真之 氏(広島大学)
R^3内のトロピカル平面上のトロピカル曲線
本講演ではR^3内のトロピカル平面V("x+y+z+0")とあるトロピカル超曲面がなす完全交叉空間トロピカル曲線について見る。そのためにトロピカル平面曲線の第三象限への制限を双対多面体的複体を用いて解析する手法を導入する。応用として得られる次の定理により、R^3内のトロピカル平面上のトロピカル曲線のスケルトンに種数3のロリポップグラフが現れるかという未解決問題に部分的な解答を与える。

「f, gは次数d, eの3変数トロピカル多項式でNewton多面体が最大のものであり、V(f)とV(g)の交わりは滑らかな完全交叉空間トロピカル曲線Cをなすとする。このときCのスケルトンは種数3のロリポップグラフではない。」
1210(金)15
是枝 由統 氏(広島大学)
ジェットスキームの有理2重点上のファイバーの既約成分の配置
代数多様体 $X$ への $m$ 次の無限小曲線からの射の全体にスキーム構造が定まり、これを $X$ の $m$ 次ジェットスキームという。特に $X$ が曲面で有理 2 重点を持つ場合に、 十分大きな次数のジェットスキームでの特異点上のファイバーの既約成分と、$X$ の最小特異点解消の例外曲線が対応することが知られている。講演者は $A_{n}$ および $D_{4}$ 型の場合に、特異点上のファイバーの既約成分の交わりを調べ、既約成分の共通集合の間の包含関係を決定した。また、これらの情報から特異点解消グラフと同型なグラフを構成した。
本講演では、$A_{n}$、$D_{4}$ 型それぞれで既約成分の交わりを調べる方法を説明する。