2013年度
後期
- 平成26年03月24日(月)10:30--
講演者:宮谷和尭 氏(広島大学)
タイトル: ガウス和を用いた有限体上の多様体の有理点の数え上げと,ある exponential
sum の計算
アブストラクト:有限体上の射影空間の任意の部分多様体は,よく知られた超平面の場合に
帰着することで,その有理点の個数をガウス和を用いて表示することができる.
本講演では,この手法を P^1 や P^1 x P^2 のある埋め込みによる像に適用することで,
ある exponential sum を explicit に計算する.
この研究は佐野誠氏との共同研究である.
- 平成26年02月07日(金)15:00--
卒論・修論発表会予行演習
- 平成26年01月31日(金)15:00--
講演者:内海和樹 氏(広島大学)
タイトル: Jacobian fibrations on the singular K3 surface of discriminant 3
アブストラクト:複素数体上定義されたK3曲面の取り得るPicard数の最大値は20
であり,Picard数がその最大値20に等しいK3曲面は特異K3曲面と呼ばれる.超越
格子の判別式が3の特異K3曲面はあるAbel曲面上の位数3の自己同型に
よる一般化Kummer曲面として構成され,そのようなK3曲面は6個の相異なる
Jacobianファイブレーションを持つことが知られている.
本講演ではそれら各々のWeierstrass方程式を導出し,その有理点として
Mordell-Weil群の生成元を具体的に与える方法について述べる.
- 平成26年01月24日(金)大学院二次募集のためお休み(保型形式および関連するゼータ関数の研究) (East Asia Number Theory Conference)
- 平成26年01月17日(金)センター試験前日のためお休み
- 平成26年01月10日(金)15:00--
講演者:飯島優 氏(京都大学)
タイトル: 種数$1$の写像類群に関する合同部分群問題の副$l$版について
アブストラクト: 整数係数の特殊線形群といった数論的部分群が与えられたとき,
その数論的部分群の全ての指数有限部分群はある主合同部分群を含むかどうかを
考えることは合同部分群問題と呼ばれていますが, この問題の非線形類似として,
写像類群の合同部分群問題というものがあります.
この講演では, 素数$l$に対して, 写像類群に関する合同部分群問題の副$l$類似を考
え,種数$1$の場合に得られた結果を紹介したいと思います.
この講演の主結果は星裕一郎氏との共同研究に依るものです.
- 平成25年12月20日(金)15:00--
講演者:若林泰央 氏(京都大学)
タイトル:正標数のTeichmuller理論と関連する組み合わせ論
アブストラクト:本講演の主人公(もちろん講演者本人ではありません)であるdorm
ant indigenous bundleとは、望月新一氏により創始されたp進Teichmuller理論のな
かで導入された然るべき条件を満たす正標数代数曲線上の射影直線束(+可積分接続)
です。今回はこのdormant indigenous bundleの定義から始まり、(一見すると関係
ないっぽいけど実は)関連する組み合わせ論的な話題(spin networkの数え上げ、Eh
rhart多項式など)について、講演者が得た結果を交えながらお話しできればと思い
ます。
- 平成25年12月13日(金)15:00--
講演者:瀧真語 氏(東京電機大学)(代数的整数論とその周辺)
タイトル:On Oguiso's K3 surface
アブストラクト: K3曲面上の位数32の非シンプレクティック自己同型は
そのネロン・セベリ格子に自明に作用しない事が知られている.
一方で,小木曽 啓示氏はネロン・セベリ格子へ対合として作用する
位数32の非シンプレクティック自己同型とそれを持つK3曲面を構成した.
位数32の非シンプレクティック自己同型とそれを持つK3曲面は
この小木曽氏の例と同型になる,という事を紹介する.
- 平成25年12月06日(金)15:00--
講演者:Timothy Logvinenko 氏(Cardiff)
タイトル:On braiding criteria for spherical twists
アブストラクト:
Spherical twists are certain autoequivalences of the
derived category D(X) of an algebraic variety X. Each such
twist is defined by a functor D(Z) -> D(X), where Z
is some other variety. In geometrical case, this functor
is defined by a subvariety of X flatly fibered over Z.
In this talk I will first give a short introduction
to these twists, recalling ther definition and construction.
Then I will explain sufficient criteria for several
such twists to define a categorical action of the braid
group on D(X). I will first give these in general
form, which applies to the twists defined by any abstract
functors. Then I give a geometrical interpretation for
the case when the twists are defined by fibered subvarieties
of X as above. This is joint work with Rina Anno (UPitt).
- 平成25年11月29日(金)15:00-- (Motives)
- 平成25年11月22日(金) AO 入試のためお休み
- 平成25年11月15日(金)15:00--
講演者:藤田博司 氏(愛媛大学)
タイトル:実函数のDifference Property
- 平成25年11月08日(金)15:00--
講演者:廣門正行 氏(広島市立大学)
タイトル:On three dimensional canonical singularities in characterisitc p
- 平成25年11月01日(金)15:00--
講演者:川谷康太郎 氏(名古屋大学)
タイトル:Picard数1のK3曲面上の安定性条件と上半平面
アブストラクト:これまでの研究の動機を説明した後に, K3曲面上の安定性条件の空間に双曲計量を導入する.
この計量を用いて, Bridgelandにより予想された安定性条件の空間の単連結性を考察する.
時間が許せば, 双曲計量を用いた応用として, 向井-Orlovによる結果を大域トレリを用いずに示すことを解説する.
- 平成25年10月25日(金) 代数幾何学城崎シンポジウム のためお休み
- 平成25年10月18日(金)15:00--
講演者:三井健太郎 氏(神戸大学)
タイトル:Homotopy exact sequences and orbifolds
- 平成25年10月11日(金)15:00--
講演者:河村尚明 氏(広島大学)
タイトル:Certain $p$-adic families of automorphic forms on symplectic groups and their related topics
アブストラクト:As is well-known, H. Hida and A. Wiles constructed certain $p$-adic analytic families of automorphic forms on ${\rm GL}(2)$,
and exploited their ideas to construct the so-called big Galois representations. In this talk, we'll show you how to construct certain
$p$-adic families of automorphic forms on the symplectic group of arbitrary degree. Furthermore, we'll also discuss their potential utilities
in arithmetic.
- 平成25年10月04日(金)15:00--
講演者:木村俊一 氏(広島大学)
タイトル:Rationality and Irrationality of Motivic Chow Series -- A Survey
アブストラクト:K環と、モチビックゼータの有理性について、入門的な説明を行う。
一見幾何的な構造を持たない対象でも、モチビックゼータが有理的になれば、
その分母分子の次数としてその「サイズ」が読み取れる。
モチビックゼータの一般化として、Motivic Chow Series が定義できるが、
これは必ずしも有理関数になるとは限らない。その微妙な状況について
現在わかっていることを解説する。
前期
- 平成25年8月2日(金)期末試験のためお休み
- 平成25年7月26日(金)15:00--
講演者:Hoang Thanh Hoai 氏(広島大学)
タイトル:On Ballico-Hefez curve
アブストラクト:Let p be a prime integer, and q a power of p.
The Ballico-Hefez curve is a non-reflexive nodal rational plane curve of degree q+1 in characteristic p.
In fact, we can easily see that the image of the line x_0 + x_1 + x_2 = 0 in projective plane by the morphism given by
[x_0 : x_1 : x_2] --> [x_0^(q+1) : x_1^(q+1) : x_2^(q+1)] .
In representation, we investigate its automorphism group and defining equation.
- 平成25年7月19日(金)仙台広島整数論集会
- 平成25年7月12日(金)15:00--
講演者:松本眞 氏(広島大学)
タイトル:Quasi-Monte Carlo Integration and Discrete Fourier Inversion
アブストラクト:s次元立方体[0,1]^s上定義されたリーマン可積分関数fを、
この立方体上積分する問題を考える。素朴に、それぞれの座標をL等分してリーマン積分を考えると、
L^s個の点でfの値を計算する必要があり、sが小さくないときには非現実的な時間がかかる。
[0,1]^s上に一様かつ独立にランダムにN点とり、これらの点でfの値をとって平均
すると、fの積分値の近似となる。これがMonte Carlo Integrationであり、積分
誤差のオーダーはN^{-1/2}となる。ランダムではなく、「超一様」にN点をとることで、
積分誤差のオーダーをより小さくすることをQuasi Monte Carlo Integrationと
いい、長い歴史がある。このtalkでは、2011年斎藤睦夫・Kyle Matobaとの共同研究で
得られた、点の超一様性の指標Walsh Figure of Meritについて解説する。一つのカギは、
[0,1]区間とF_2[[t]]をmeasured setとして同一視することで、fの離散フーリエ変換
を行うことにより計算量を劇的に減らすことである。これにより、従来よりある意味で優れた
点集合を探索発見できる。
- 平成25年7月5日(金)欠席者多数のためお休み
- 平成25年6月28日(金)15:00--
講演者:石井亮 氏(広島大学)
タイトル:ダイマー模型の作り方
アブストラクト:ダイマー模型は二次元実トーラス上の二色グラフでトーラスを多角形に分割するようなものです.
ダイマー模型から格子凸多角形が定まり,3次元アフィントーリック多様体のクレパント解消/非可換クレパント解消などが作られてきました.
今回は,格子凸多角形からダイマー模型を直接作る方法について解説し,応用として対称性をもつダイマー模型と
非可換クレパント解消について述べたいと思います.
- 平成25年6月21日(金)The 6th MSJ-SI - モジュライ理論の発展
- 平成25年6月14日(金)15:00--
講演者:石部正 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
タイトル:アルティン群の一般化について
アブストラクト:孤立特異点(X, x_0)の半普遍変形から構成したディスクリミナント因子の補集合の
基本群を理解することを目標としている. (X, x_0)がADE特異点の場合は, よく知られている
ように基本群はアルティン群に表示されて, 群の語の問題・共役問題・中心の決定がなされる.
(X, x_0)が単純楕円型特異点の場合にこれらの結果を拡張したい. そうすることによって同時に
アルティン群の一般化を行う. この場合の基本群は楕円アルティン群と呼ばれており,
アルティン群の場合とは異なり, 標準的な有限表示すら知られていない. アルティン群の一般化
は不十分ながらなされており, ガーサイド群と呼ばれている. 経験から, 楕円アルティン群は
ガーサイド群には表示されないだろうと考えられている. 本講演では, ガーサイド群に表示
されないにもかかわらず, 群の語の問題・共役問題・中心の決定がなされる無数の例が
複素直線配置の補集合の基本群として得られたことについて話す.
- 平成25年6月7日(金)15:00--
講演者:吉永正彦 氏(北海道大学)
タイトル:実直線配置のミルナーファイバー
アブストラクト:複素射影平面上の直線配置の(錐の)ミルナーファイバーのモノドロミー作用は、
直線配置の様々な幾何学的不変量と関係している(multinets ,補集合の基本群のAlexander多項式や
ある種の代数曲線の数え上げなど)。最近、直線配置が実構造を持っている場合に、実構造(Chamberの隣接関係)
を使って、ミルナーファイバーの1次のホモロジーのモノドロミー分解を記述するアルゴリズムが得られた。
そのアルゴリズムを使った計算例とアルゴリズムから得られる、定性的な結果について報告したい
(余裕があれば、有限体上の点の数え上げとの関係などについても触れたい)。
プレプリント arXiv:1301.1430 に沿った話をする予定である。
- 平成25年5月31日(金)15:00--
講演者:平之内俊郎 氏(広島大学)
タイトル:A tensor product of reciprocity functors
アブストラクト:相互関手 (reciprocity functor) とは, Voevodsky のモチーフの圏に於けるテンソル積を拡張するために Ivorra と Ruelling に
よって導入されたもので, (半 Abel 多様体とは限らない)可換代数群や Nisnevich sheaf with transfer などを含みます.
この相互関手の「テンソル積」の具体的表示と加法的 Chow 群との関係を紹介します.
- 平成25年5月24日(金)集中講義
- 平成25年5月17日(金)15:00--
講演者:田端亮 氏(広島大学)
タイトル:半正値エルミート行列における immanant 不等式について
アブストラクト: Immanant とは, n 次対称群の各既約表現に対して定まる n × n 正方行列上の関数であり,
行列式の一般化である. この定義域をエルミート行列に制限すると, その値は実数値をとる.
その大小関係について, Schur の定理と Permanental Dominance 予想があるが, これらの不等式の一般化,
精密化に向けて, 立てた予想を紹介する.
- 平成25年5月10日(金)15:00--
講演者:高橋宣能 氏(広島大学)
タイトル:代数カンドル
アブストラクト:カンドルとはある種の代数系であり、
結び目の不変量との関連等から研究されている。
(一般)対称空間は連続的なカンドルの一種ということができ、
リー群のある種の商として表せることが知られている。
カンドル構造の与えられた代数多様体を
代数カンドルと呼ぶことにする。
本講演では、代数的に連結な
(すなわち内部自己同型群の作用が推移的である)代数カンドルが
代数群の商として記述できることを示す。
- 平成24年5月3日(金)憲法記念日
- 平成25年4月26日(金)15:00--
講演者:島田伊知朗 氏(広島大学)
タイトル:An algorithm to compute automorphism groups of K3 surfaces
アブストラクト:Let X be a complex K3 surface or a supersingular K3 surface in
odd characteristic. The natural homomorphism from the automorphism group of X to
the orthogonal group of its N\'eron-Severi lattice has only finite kernel.
We present an algorithm to calculate a finite set of generators of the image of this homomorphism.
- 平成25年4月19日(金)15:00--
講演者:宮谷和尭 氏(広島大学)
タイトル:ある種の超曲面の単項的変形と2種の超幾何函数
アブストラクト:超幾何函数には,Gauss 和を用いて定義される「有限体上の類似」がある.
通常の超幾何函数のうち特別なパラメータをもつものは,
複素射影空間のなめらかな超曲面の族が定める Picard-Fuchs 方程式の解として得られるのであったが,
有限体上の超幾何函数については,特別なパラメータをもつものは,
有限体上の射影空間のなめらかな超曲面のゼータ函数から得られる.
この類似にかんして,有限体上の超幾何函数の導入からはじめて,
講演者が得た最近の結果についてお話しする.